Settings in 2008

Photosynthesizers 初期設定(2008年)

計画の段階目標:
1. 人体内、あるいは人体表面における植物(または藻類、葉緑体、光合成細胞)と人間との共生状態を作る。
2. 人間の身体能力として、光合成能を獲得する。
3. 変形された人類の意識の変容を研究する。

計画の目的:
・自然と人間存在、特にその可塑性に着目し、未見の人間像を探求し造形する。
・地球上に住む人類の、エネルギー、食糧、経済の諸問題を解決するための視点のひとつを提示する。
・上記を通して、人がより自由に豊かに暮らす方法を探り、視覚化する。

人体上に植物を育成させることの利点:
・植物の光合成により得られた養分を人間が直接的に摂取することができる。すなわちエネルギーの損失率が少ない。
・生産と消費のエネルギー収支を個人レベルで体感し、より健全な身体環境を作る。
・土地所有制度という既存の経済システムを回避し、人間社会における貧富・食糧・エネルギーの格差を緩和する。
・光合成による生産により実労働時間の短縮が期待され、人間はより自由な時間を持つことができる。

課題点と問題点:
・人体における植物の生育条件。
・人体という環境でどのような植物が育成されうるか。
・移植された植物に対する人体の免疫(拒絶)反応。
・光合成により生産されるエネルギーと人間生活により消費されるエネルギーの収支のアンバランスを解消できるか。(実際の生産性)

参考:
・人間は哺乳類の一種であり、母乳を生産する能力を持つ。光合成によって得た化学エネルギーを母乳に変換することができれば、他の個体とエネルギーを共有することができる。女性のみならず男性にも乳首があり、男性にも潜在的に母乳生産能があると思われる。

・動物的要素と植物的要素を合わせ持った生物は自然界に多く存在する。例えば珊瑚礁は、単細胞藻類に属し独立栄養生物である褐虫藻と、従属栄養生物であり刺胞動物のサンゴ虫との共生関係にある。このような生物の研究は私たちのプロジェクトにとってとても参考になるものだ。

・地上に生息する独立栄養生物である植物と、脊椎動物で従属栄養生物である人間とが共生することができれば、それは珊瑚礁のように美しく豊かなものになるであろう。

「古事記」より(現代語訳:鈴木三重吉)
―神々たちは、それでようやく安心なさいました。そこでさっそく、みんなで相談して、須佐之男命(すさのおのみこと)に、あんなひどい乱暴をなすった罰として、ご身代をすっかりさし出させ、そのうえに、りっぱなおひげも切りとり、手足の爪まではぎとって、下界へ追いくだしてしまいました。そのとき須佐之男命は、大気都比売命(おおけつひめのみこと)という女神に、何か物を食べさせよとおおせになりました。大気都比売命は、おことばに従って、さっそく、鼻の穴や口の中からいろいろの食べものを出して、それをいろいろにお料理してさしあげました。すると須佐之男命は大気都比売命のすることを見ていらしって、「こら、そんな、お前の口や鼻から出したものがおれに食えるか。無礼なやつだ」と、たいそうお腹立ちになって、いきなり剣を抜いて、大気都比売命を一うちに切り殺しておしまいになりました。そうすると、その死がいの頭から、かいこが生まれ、両方の目にいねがなり、二つの耳にあわがなりました。それから鼻にはあずきがなり、おなかに、むぎとだいずがなりました。それを神産霊神(かみむすびのかみ)がお取り集めになって、日本じゅうの穀物の種になさいました。須佐之男命は、そのまま下界へおりておいでになりました。

 

Two boys and a girl
2008
トレーシングペーパーにペン、鉛筆
2boys1girl0 2boys1girl1

 

断面図 Section
2009
デジタル画像、サイズ可変
section09