Fresh Princess

Fresh Princess
2010
モルタル
61×38×20cm(長さ×幅×高さ)
グループ展「Space Reception」
秋吉台国際芸術村での滞在制作
山口県

古事記所収のオオゲツヒメのエピソードから着想を得た作品。いわゆるハイヌウェレ型神話と呼ばれるもので、殺された女神の死体から種々の作物が生まれたとするものである。この作品では、ブロッコリ、アスパラガス、イチゴ、パセリ、トマト、シシトウなどの野菜が女性の肛門から溢れるように出てくる様子をモルタルの彫刻にした。

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以下に、古事記からオオゲツヒメの登場するエピソードを引用した。太古の昔、農業の始まりに殺戮があったことを暗示しているようにも思える。

「古事記」より(現代語訳:鈴木三重吉)
―神々たちは、それでようやく安心なさいました。そこでさっそく、みんなで相談して、須佐之男命 (すさのおのみこと)に、あんなひどい乱暴をなすった罰として、ご身代をすっかりさし出させ、そのうえに、りっぱなおひげも切りとり、手足の爪まではぎとって、下界へ追いくだしてしまいました。そのとき須佐之男命は、大気都比売命(おおけつひめのみこと)という女神に、何か物を食べさせよとおおせになりました。大気都比売命は、おことばに従って、さっそく、鼻の穴や口の中からいろいろの食べものを出して、それをいろいろにお料理してさしあげました。すると須佐之男命は大気都比売命のすることを見ていらしって、「こら、そんな、お前の口や鼻から出したものがおれに食えるか。無礼なやつだ」と、たいそうお腹立ちになって、いきなり剣を抜いて、大気都比売命を一うちに切り殺しておしまいになりました。そうすると、その死がいの頭から、かいこが生まれ、両方の目にいねがなり、二つの耳にあわがなりました。それから鼻にはあずきがなり、おなかに、むぎとだいずがなりました。それを神産霊神(かみむすびのかみ)がお取り集めになって、日本じゅうの穀物の種になさいました。須佐之男命は、そのまま下界へおりておいでになりました。

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