Dreaming A Same Dream

同じ夢を見る
2009年3月〜7月
小豆島 AIR2009 spring
香川県小豆島町での滞在制作のためのプロジェクト

住民に睡眠中に見た夢の絵を描いてもらい、それらの絵をモーフィング合成して現れたイメージを基に制作された作品群。合成映像や彫像「夢の化身」を制作した他、布団を用いたインスタレーションを行った。モーフィングとはコンピュータグラフィックスの手法のひとつで、あるイメージから別のイメージへと滑らかに変形させる映像表現。モーフィングの語源は、ギリシア神話に登場する夢と眠りの神、モルペウスに由来する。モルペウスの名は「造形者」の意であり、人間の形に姿を変え、夢の中に現れる。眠っている人間にそっと真実を伝える神であるという。このプロジェクトは、互いに無関係な夢をあえて合成して1つの夢にすることで、夢=極めて個人的な体験、を互いに共有する方法を探る試みである。それは誰にも見られることの無かった夢を形象化していくプロセスでもある。夢の中であなたは私になり、私はあなたになる。

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自身が見た夢の絵を描いてくださった小豆島の方々。計16名の方と共同制作を行った。

 

追いかける夢を追いかける、追われる夢に追われる Chasing a Dream of Chase, Being Pursued by a Dream of Being Pursued
2009
15分55秒、DVD
住民の描いた睡眠中の夢の絵画16枚を合成していく過程を収めた映像作品。
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夢と太陽 Dreams and the Sun
2009
掛け布団、マットレス
プロジェクト「同じ夢を見る」
香川県小豆島町
滞在施設前にある児童公園でのインスタレーション。 周辺地域から集められた布団数十枚を日光に当てて干している。dsda

 

夢の化身 Kesin of Dreams (the Incarnation of Dreams)
2009
鉄筋モルタル
身長約85cm
プロジェクト「同じ夢を見る」
香川県小豆島町
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上の図は、映像作品「追いかける夢を追いかける、追われる夢に追われる」より。住民の描いた夢の絵の中の登場人物・動物をモーフィング合成してできた最終的な人物像である。計20人+2匹のイメージが合成されている。この合成イメージを忠実に立体化したものが下の彫像である。

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photo: Noriaki Hayashi
小豆島町蔵

 

羽毛 Feather
2009
布団、枕、オーディオプレーヤー、画用紙にドローイング
プロジェクト「同じ夢を見る」
オリーブナビ
香川県小豆島町
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小豆島にある道の駅「オリーブナビ」を会場にしての展示発表。住民の描いた夢の絵の原画16点、合成映像「追いかける夢を…」、彫像「夢の化身」の他、布団11組を天吊りするインスタレーション「羽毛」が展示された。このプロジェクトを通して、「異なる背景を持つ人たちが同じ夢を見ることとは何か?」というロマンチックな問いかけを形象化している。
天吊りされたそれぞれの布団の枕元からは、睡眠中の夢について語る住民の声がかすかに流れている。これは夢を取材する過程で収録されていたものである。 布団のイメージは、小豆島に伝わるお祭り、布団太鼓に触発されたものでもある。

 

奈落 Naraku
2009
中山農村歌舞伎舞台でのインスタレーション
香川県小豆島町
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国の重要文化財に指定されている中山農村歌舞伎舞台でのインスタレーション。展覧会期中、舞台裏である奈楽を会場にして展示を行った。「夢の中のメモ」「霊長」「追いかける夢を追いかける、…」「羽毛」などの作品で構成された他、農村歌舞伎で実際に使用されている衣装をお借りし、展示した。

(下画像)住民の描いた夢の絵の中の文字・言葉をモーフィング合成してできた謎のメッセージ。 これを生地にプリントしたものが、円筒形の照明具にされた。(上画像右側)

Note from Dreams 2009、生地にプリント
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展覧会の最終日には、表舞台に映像作品「追いかける夢を追いかける、…」がプロジェクター投影された。

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桟敷から見た昼間の歌舞伎舞台。