Grain in Dream

夢の木目 Grain in Dream
2007
粘着シート、木枠
46×37×2.5cm(幅×高さ×奥行)
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夢の木目 Grain in Dream
2007
粘着シート、木枠
37×46×2.5cm(幅×高さ×奥行)
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僕は夢の中でこれが夢だと気づくとすぐに目がさめてしまいます。ところがその夢では、夢だと気づいたのに目がさめなかったのです。そこでこれが夢か夢でないか夢の中で確かめようとしました。なぜだかわかりませんが、木の木目を確かめることによって夢か現実か判断できると思いました。そばに木製のテーブルか何か家具のようなものがあって、その木目をまじまじと見ました。それは見る限り本物の木の木目でした。それから木目の表面を手で触れて撫でてみました。本物の木の感触がしました。叩くと木の音もします。ニスなど塗られていないようで、表面は多少ざらざらしていて、撫でていると指にとげが刺さりました。指先に軽い刺激感があり、血が出ました。それを舐めると血の味がしました。それでこれは夢ではないと結論付けました。ところが目が覚めてみると、それは夢だったのです!僕はあんなに念入りに確認したのに、それが夢だと知って、激しい衝撃を受けました。この夢から僕は多くを学びました。その一つは、「直感は五感より正しい」ということです。夢の中ではじめに直感的にこれが夢だと気づいたとおりにしていれば、誤った判断をしなくて済んだのです。もうひとつは、見ることも触れることもその他の五感も、知覚するという点では等価であるということです。僕は彫刻を学んでいたので、錯視などもあるし視覚よりは触覚のほうがより確かなのではないかと漠然と思っていました。ところが全然そんな事はありませんでした。知覚によっては本当の現実を認識することはできませんでした。知覚は限られた能力なのだと実感しました。(2006年10月30日)

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